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複雑な工程が分業化され、たくさんの伝統工芸士の手と長い時間を経てでき上がります。ここでは、一点一点が染色家の作品と呼ぶにふさわしい風格を持つ手描き友禅と、小紋など細かな模様やたくさんのきものを作るのに適している型友禅の工程をご紹介します。
季節や流行をふまえ、きものの柄になる図案を作成します。
白生地の上に、青花(水で落ちる特殊な染料)を使って図案を写します。
下絵の輪郭線(糸目)の上に糊を置きます。これで絵の色が混ざらないように止めます。
染料を混ぜて色を作り、糸目の内側に筆やハケでていねいに色づけします。
地色がつかないよう、模様の色をつけた部分を糊でカバーします。
生地を広げ、竹ひごでピンと引っ張ってつるし、生地全体の地色を染めます。ムラが出ないよう、大きなハケで一気に染める「引染」という技法を用います。
染めた色が生地に定着するように、蒸箱に入れて100度近い温度で約20分から50分間蒸します。
蒸し終った生地はすぐ水洗いして、糊をきれいに落とします。
生地をいったん乾かし、また蒸気を当てて生地を柔らかく伸ばします。この工程で色艶がいちだんと冴え、ようやく完成します。
柿渋や樹脂などで防水した特殊な紙で、型紙を作ります。図案を色分けして一色ごとに型紙に写し、小刀で切り抜きます。用いる色の数だけ枚数を用意します。
大きな板に糊で生地を張りつけます。その上に一色ごとに型を置き、ヘラやハケで色をすりこんでいきます。これを色の数だけ繰り返します。
※手描き工程の2.~5.までが次のように変わります。あとは手描きと同じ工程を経ます。
色とりどりに染めた糸や金銀糸で模様を織り出す西陣織は、帯の最高峰と言われ、世界最高の技術と賞されています。
何千本もの糸を用い、約20の工程を経てようやく完成しますが、やはり熟練の伝統工芸士がそれぞれの分野を受け持ち、トータルで美しい製品ができ上がります。
手織りと織機織りがあり、ここでは織機織りの主工程をご紹介します。
伝統や流行を取り入れ、帯の柄になる図案を描きます。
図案を特殊な方眼紙に写し、織物の設計図にあたるものを作成します。
図案の柄や経糸(たていと)・横糸の組み合わせかたをデータ化して細長い紙にパンチし、織機に指示を出すための「紋紙」を作ります。
生糸を仕上げる織物に合わせて、適度な太さの糸に撚ります。
撚った糸を使う色数に応じて染め上げます。
横糸はそのまま用いますが、経糸は使う本数分を帯の長さに合わせて整えます。
織機の経糸を引き上げる装置に、整経した糸を一本ずつ結んでセットします。
綜絖の済んだ織機に紋紙をセットし、横糸を交差させて織っていきます。
織機からはずしてミスがないかチェックし、帯に仕立てます。