紋付の模様染の場合は、のちに紋上絵としてかき紋を入れるので、地染めまで紋糊を置いておく。
紋糊用には、粘着性が必要なために餅糊が用いられることが多いが、ゴム糊が用いられる場合もある。紋の数は、五つ紋・三つ紋・一つ紋があり、着物としては五つ紋が正式で、背の中央・両袖の裏・前身頃に付ける。三つ紋は婦人の羽織用で、背と袖に付ける。一つ紋は略式で、背に付ける。
〈紋糊の置き方〉
 1)袖・背・胸、それぞれの紋糊の位置に印を付ける(詳図参照) 
 2)紋肌に生地を貼る
 3)紋型を当て、型糊を摺り込む
 4)紋輪をはめて、糊筒で紋糊を置く
 5)紋輪をはめかえて、裏から糊を置く
 6)挽粉(ひきこ)をかけ、乾燥を待つ

〈紋糊の置き方〉
1)の説明
○袖の紋
 袖を丈折りにしてイの線を青花汁で引き、幅折りにしてロの線を引く。交差点ハから2寸2分下がった点ニを紋頭の位置とする。

○背の紋
 ホの肩印から2寸3分下がった点チ、耳から3分ぐらい内側を紋頭とする。


○胸の紋
 ホの肩印の線上で、生地幅の中央点ヘから4寸5分下がった点トを紋頭とする。
羽織の場合は、胸の紋の位置が異なる。背紋のある方の耳から7寸5分の所に片寄せる。
この方法は定紋の場合に行われるが、染め上がった後に好みの紋を入れられるように石持の形に糊を置く場合もある。また 1)の工程は同じで、餅糊を何回も塗って板状にしたもの(メンコという)を、餅糊を置く場合もある。
紋の大きさは、女物で直径5分5厘、男物で直径1寸位が標準である。