糸ゴ
目ム
糊糊
置置

糸目糊置は、下絵の線に沿って、生地の上に糸のように細く糊を置いていく作業である。のちの挿し友禅で、模様に染液を挿すときの防染の役目を果たすが、それが終わると水洗で洗い落とされ、糸目として白く浮き上がった跡は、独特の美しさを表現し、友禅染の配色をより引き立たせる効果がある。まず、下絵を描いた絵羽縫いを解き、合口の中の模様を描き足す。それを反物の形に戻し、その裏から大張り子張りの順に伸子を掛け生地を平均に張る。次いで糊筒(柿渋を引いた和紙を筒状にし、その先に真鍮製の口金をつけたもの)に糸目糊を入れ、人指し指の腹で少しずつ絞り出していく。糸目糊置が済んだら乾燥させ、糊糸目の場合は生地の裏から霧吹きで水をかけ、糊を密着させる。ゴム糸目の場合は揮発油を、霧吹きで吹きかける。



糸目糊置
 

〈糸目糊の作り方〉
糯米粉を主成分に、米糠・石灰・蘇芳などを加え、混ぜたもの。
1)糯米粉と米糠を混ぜる
2)石灰を漉すか水に溶かして、沈殿物を取り除く
3)沸騰した湯に石灰を入れる
4)食塩少々を加える
5)これに 1)を入れ、よく練り混ぜる
6)少しずつ熱湯を加えて何度も練り、団子を作る
7)団子の中央に穴を開けて熱湯を注ぎ、とろ火にかけ、ゆっくり溶かしていく
8)火から下ろし、また練り混ぜる
9)これを冷却すれば出来上がり
10)使う際は必要な量だけを取り、木綿布で漉し、蘇芳の粒とグリセリン少量を加えてヘラでよく混ぜる。

① 材料を篩に通す

② 耳たぶぐらいの固さに練って蒸す

③ 擂り鉢で擂り、蘇芳を加える
 赤糸目糊の製作
 

〈ゴム糊の作り方〉
板ゴムとダンマルゴムを揮発油で溶かし、二つを混ぜ、群青(顔料)を加えたもの。
1)板ゴムを細かく切る
2)これをビン等の容器に入れて、揮発油をゴムの上まで注ぎ蓋をしておく
3)ゴムが溶けきるまで、何度か揮発油を補充
4)溶けきるまで、夏は約1週間、冬は約半月かかるので、早く溶かしたいときは、湯の中にこの容器を入れて温める
5)ダンマルを別の容器に入れて揮発油で溶かす
6)ゴム糊に、ダンマルを少しずつ加え、混ぜる
7)これに群青を少量入れ、着色する