手描友禅には、挿し伏せ友禅、堰出し友禅、無線友禅などの種類がある。ここでは、もっとも代表的な挿し伏せ友禅を解説する。
挿し伏せ友禅は、糊を入れた角状の紙筒を用いて、糸目糊を模様の輪郭に沿って置き、内側に色を挿したあと、模様全体を糊で伏せて防染した上で地染めする方法である。手描友禅を代表する技法であるため本友禅、筒描き友禅ともいう。使用する糸目糊の種類によって、糊糸目(赤糸目)とゴム糸目とに分けられる。
江戸時代以来の伝統の技である友禅染の制作には、それぞれが重要な役割をもつ数多くの工程がある。それらは今では、ほぼ完全に分業化されている。