ジャカードは、紋紙に開けられた穴の指令を読み取り、経糸を上下する。この経糸を上下する部分が、綜絖と呼ばれるところである。
綜絖で重要な部分は、ジャカードからの指令を経糸に伝えるシステムである。これは幾つかのパートから構成されている。一番上から、通糸(つうじ)、カタン糸、紋ワイヤー、錘(しず)=重りの4つの部分からなっている。
これらを作業工程から見ると、目板刺し、本付け、紋ひらい、棒刀吊り、経糸の畦取り、伏(ふみ)せひらい等の作業が考えられる。

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綜 絖

 

〈目板刺し〉通糸を、目板と呼ばれる穴が無数に開いた板に1本ずつ通す。これが目板刺しの作業であ る。目板は、平面的に構成することによって、通糸がからまないように、また、何千本とある経糸を規則正しく配分する役目もある。
〈本付け〉目板に通された通糸は、カタン糸 を通した紋ワイヤーと接続する、本付けの作業に入る。1本ずつ通糸を、カタン糸の輪に通して結んでいく。結び目はすべて同じ高さで揃うように結ぶ。本付けが終われば、紋ワイヤーに経糸が順序よく通せるように、目板の下で畦取りを行う。
〈紋ひらい〉経糸を、紋ワイヤーの中ほどに設けられた、小さな穴に1本ずつ通していく。
〈棒刀吊り〉経糸が紋ワイヤーに通される と、次は棒刀吊りという作業にかかる。棒刀板と呼ばれる平らな木の板を、輪にしたカタン糸に通す。カタン糸の輪に通した棒刀板に、紐をかけ、目板に通し、ほかの棒刀板と同じ高さにして、それ以上、下がらないように目板の所でまず固定し、紐で上から吊り下げる。ジャカードから来る経糸への指令は、通糸単位のものと棒刀単位のものがあることがわかる。

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〈経糸の畦取り〉伏せに経糸を通しやすくするために行われる作業で、経糸の畦取りという。畦を取るこ とは、糸がからまないように順序よく並べるためである。
〈伏せひらい〉畦取りが終わると、伏せに経 糸を通す、伏せひらいという作業にかかる。織物の紋様は、緯糸が経糸の表面に現れたり、下に隠れたりすることによって作られる。このとき、緯糸は経糸を数本、時には数十本飛び越えて次の経糸とからむ。飛び越えた緯糸を経糸で押さえ込むのが伏(ふみ)せである。押さえ込まれた緯糸は、柄としては表面に表れないようになっている。用途によって、ナイロン伏せと松葉ワイヤーを使い分ける。