絹の原糸、いわゆる生糸にはさまざまな動物性蛋白質が含ま れている。その中でもフィブロインという蛋白質は、絹の繊維を構成している重要な要素であるが、セリシンという蛋白質は、膠質、または絹ゴム質とも呼ばれ、絹にとっては不純物となり、染色にも弊害をもたらす。
精練後の糸と比べた場合、精練前の糸は、見た感じでも、少し黄色くなっているのがわかる。このセリシンを取り除く作業が、精練と呼ばれる工程である。セリシンを溶解し、フィブロインのみを取り出すことによって、白く柔軟な、絹本来の性質を発揮させる。
精練の技法には、昔ながらの手作業である袋練と、機械精練で薬品の泡を利用した泡練の方法がある。