〈伝統的な手染め〉ま ず、色見本を見ながら調合した染料は、湯の入った釜に入れ、よくかき混ぜて溶かす。そこへ、精練された綛糸を浸ける。染める糸は、数束を一つの染め竹に通して作業を行う。
手かぎを用いて、綛糸を手際よく回しながら、染めむらのできないように均一に染液に浸けていく。
ある程度染まった段階で、綛糸を引き上げ、手かぎを用いて染液を絞り出す。綛糸の一部を力いっぱい絞り上げ、見本の色と色合わせをする。糸染の基本は、見本の色よりも少し薄めから染め上げ、次第に濃くして色を合わせていく。
染め上がった糸は水で洗い、余分の染液を落とす。
水洗後、糸は酢酸を含ませた溶液に浸け、染料定着の仕上げ加工をほどこす。脱水後、綛糸を糸打ち台にして、引き伸ばす。こうすることで、染めの際に少し縮んだ糸が張りを持つようになる。
あとは竿に吊るして、一昼夜乾燥させる。

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糸 染

 

〈機械染め〉噴射式染色機は、手染めの技法が機械化されたものである。機械化といっても、見本に合わせた染料の調合は職人の勘が頼り。調合した染料の中に湯を入れ、よくかき混ぜて 染色機の中に入れる。糸をかけたシリンダーから染液が噴射され、染めていく。ムラなく染まるようにシリンダーが回転し、糸を送る。噴射式染色機には、小型の物と綛糸が何束もかけられる大型の物がある。
こうした機械を使って糸を染める場合、糸をハンク状、いわゆる綛状にした状態で染める手染めのような方法と、チーズという、糸を筒状に巻いて染める方法の2種類がある。チーズ染色機にも、大型の物と小型の物がある。染色された糸は、水洗い、仕上げ加工して乾燥に入るが、この乾燥も機械を使って行われる。熱風をチーズの中に通して圧力をかけ乾燥させる高圧乾燥機と、高周波を利用して乾燥させる高周波乾燥機がある。