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エッセイ

こだわりの旅を続けつつ歳を重ねているのかもしれない。

07.09.21


 

術後、食べ物の好みが変わったと以前に書いたことがあるが、朝食が完全にパン&コーヒー派になった。以前は、パンはなんだかぱさぱさして喉に引っかかるようで、閉口していたのだが、食パンの微妙な味の違いに出会うのが楽しみになった。それに、コーヒー。もともと、苦いばかりのこの味ばかりは好きになれなかったのが、何かの拍子に自分で淹れたコーヒーがことのほかおいしかった。それ以来、パンとコーヒーの担当は自分の役割となって、今では女房殿の分と合わせて、朝食の一切を準備する。お気に入りは、パンとなぜか納豆、それもメカブを納豆の上にたらすという、以前は最も敬遠していた究極のねばねば組み合わせ。この複雑系の味に合わすコーヒーが簡単なようでなかなか難しい。といっても、コーヒー粉と水分の調整だけなのだが、これが決まらない。気持ちのどこかで、以前に淹れた偶然の美味を追い求めているからだろうか。  パンやコーヒーですら凝りだすと様々なこだわりが出てきて、やりにくいことにもなりかねない。幸いに凝り性とは縁遠い性格なので、おいしいパンやコーヒーや納豆・メカブの種類にまではこだわらない。女房殿の買い物の選択の幅の中で、今日は当たりだのはずれなどと勝手に思っている。それにしても、コーヒーの味を決めかねているのは、以前の成功体験を追い求めているからに違いなく、こうしたことは色々なところで顔を出してくる。こんな雑文を書き連ねられるのだって、百に一つは、気持ちがぴったりと文字に乗った文章を書けた満足があって、その時の高揚をもう一度味わいたいからなのかもしれない。この外でも映画や読書やスポーツ、暮らしにまつわる様々にそのようなことはあるに違いない。人生は往々に旅にたとえられるけれど、たとえ同じ旅程を組んでも二度と同じ感慨は味わえないとわかっていて、それぞれになにかにこだわりつつ歳を重ねる旅を続けているのかもしれない、と思うことがある。

 
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