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商取引の改革に関する宣言 概要

1.宣言の目的

この「宣言」は、21世紀に向けた近代的な商取引の確立及び経営基盤の安定等を通して、和装の振興を図るため、生産・加工・卸・小売等の和装に携わる全ての皆様が、総力を結集して社会経済環境の変化に柔軟な対応ができる商取引の改革及びその実行を、また消費者の要望への的確な対応による信頼の回復等を目的として定めたものである。

2.商取引の基本姿勢

商取引は、企業が対等の立場で協議し、納得した契約内容に添って、納品及び支払等の義務の履行を遵守するとともに、取引条件の変更についても、同様に遵守すべきである。

(1) 商取引の優越的な行為等排除の遵守及び消費者指向の配慮
(2) 商取引の明確化及び文書化並びに契約履行の遵守

3.商取引の改革

21世紀における、きもの業界の新しい常識の確立等を図るため、当面の緊急で重要な課題である商取引の改革に焦点を絞った。

(1) 商取引の優越的な行為等排除の遵守及び消費者指向の配慮

  • 商取引は、企業が対等の立場で臨み、不合理な商習慣に基づく、優越的な行為の誇示や同様の懇願的な行為による一方的で不当な取引の強制は、安定した商品価格及び商品供給のためにも、厳しく慎む。
  • 商取引は、企業の利益のみを求めるだけでなく、適正な販売価格を定着さすために、消費者指向を配慮した安心できる価格及び販売方法の確立を目指す。

(2) 商取引の明確化、文書化(契約書、注文書等)の遵守

  • 不合理で不透明な商取引は撤廃すべきであり、このためには、明確化された取引条件を確認のうえ、万難を排し、契約書及び注文書等の作成(交換)の徹底を図る。
  • 商取引における契約書及び注文書の作成にあたっては、特に、次の事項を留意する。
  • 品名、規格、単価、数量、金額
  • 受渡時期及び方法並びに支払時期及び方法
  • 買取販売方式及び委託・消化販売方式等の取引形態の区分
  • その他の付帯条件(契約必要事項が最優先)

(3) 支払期間の短縮及び全額支払の遵守

  • これまでの支払は、支払の長期化、不合理性が指摘されている歩引、意図的な返品、長期の支払手形等々が頻繁に反復され、これらが複雑に交錯した、長期で曖昧なものが多く見られる。
  • このため、代金の支払は、商品納入締め切り日の翌日から30日以内とするとともに、共存共栄を目指して、相手企業の売掛金の完全な収入(回収)への全面的な協力を惜しむことなく、契約に定める義務の履行、即ち、契約に定める支払期日に全額を支払う。
  • 支払期日の設定は、「下請代金支払遅延防止法」の適用を受ける企業と同じ立場に立って、支払期間の短縮に努める。

(4) 加工代金の現金払の遵守

  • 加工代金は、現金払とする。
  • 実行目標  2003年3月31日までに実行する。

(5) 支払手形サイト短縮の遵守

  • 支払手形サイトは、長期で曖昧なものを撤廃し、経営基盤の安定化を図るため、支払手形サイトの短縮をはじめ支払条件の近代化を目指し、猶予期間を設けて、その期間及び実行目標等を定めたもので、和装業界の全ての企業が優先して実行する。
  • 実行目標  支払手形サイトは、2003年3月31日までに120日以内とする。

(6) 歩引等の撤廃の遵守

  • 歩引及びこれに類する行為(歩引等)の撤廃は、支払手形サイトの場合と同様、猶予期間を設けて、歩引等の撤廃及びその実行目標を定めたもので、和装業界の全ての企業が、優先して実行する。
  • 実行目標  歩引及びこれに類するものは、2003年3月31日までに撤廃する。

4.今後の取組予定

(1) 「宣言」の進捗状況の把握及び点検

  • 和装業界におけるこの「宣言」の実行をより確かなものにするために、和装関係団体のご協力を得て、その進捗状況の把握及び点検に努め、その実効性を高めて行きたい。

(2) 中長期の和装振興ビジョンの策定

  • 今後は、この「宣言」の進捗状況の把握・点検と併せて、社会経済環境の変化も見定めながら、和装業界が活用できる中長期の和装振興ビジョンを策定して行きたい。

(3) きものの相談・苦情処理体制のネット・ワーク化の整備

  • 近年、和装業界では、消費者のきものに関する相談・苦情への対応が十分でなく、多くの消費者から不満が寄せられ、これがきもの離れの原因の一つともなっている。
  • しかし、きものに関する相談・苦情は、簡単なものから専門的なものまで複雑多岐にわたり、一つの機関や団体では対応できない状況にある。
  • このため、行政機関、和装に関係する試験研究機関、和装関係団体等が連携して、広域的な対応が期待できる「きもの相談窓口(仮称)」のネット・ワーク化を目指し、関係機関と十分協議して、積極的な参画を要請する等、相談・苦情処理体制のネット・ワークの整備について進めて行きたい。

平成12年11月