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エッセイ

有栖川家詐称事件の本質には、関係性の希薄な
東京暮らしの不確かさが垣間見えるのだが。
03.11.07

 小学生が殺人とか一家皆殺しなど、血なまぐさい事件が続いてなんともやり切れない気持ちにさせられるが、これはまたなんと牧歌的な、癒し系犯罪であることか。
有栖川家をかたった結婚パーティ詐欺事件である。
TVワイドショーの恰好のネタとなったが、一滴の血も流れず、3〜30万円のご祝儀を騙し取られたとはいうもののパーティは開かれて出席もしたのだからまるっきりの詐欺ともいえず、それに被害者はセレブな人たち、笑って見過ごせるのではないだろうか。
それに有栖川を名乗る人物の、パンダが昼寝をした後のような間の抜けた顔は見ようによってはやんごとなき人の鷹揚な気品ともとれなくはない、と顔相学に浸るのも一興。「麿」は京都出身、「姫」は熊本から複雑な事情を振り払っての上京という。それにしても不思議なのは、たとえ招待状が届いたからといって、関わりのない人のパーティに祝儀を包んで出席する人たちだ。そしてこれは東京ならでこそ成立った狂言だと思った。

 しばらく東京生活をした経験からいうのだが、この地では人と人との横のつながりは希薄だ。そして希薄なつながりの数が半端じゃない。薄いコミュニケーションの数珠繋がりといえる。だから自己を証明する何物かが必要なのである。それは学閥だったり、資産状況を表すブランドだったりする。「宮家」のブランドなどは日本に存在する最高のものだ。
関西では“パッチもの”が流通するが、東京では偽物ブランドは毛嫌いされる。関西のパッチもの心理にはたかが持ち物、ブランドがナンボのもんじゃいという軽い批判精神があるが、東京ではブランドは自己証明のパスポートのようなものだからそれを偽物ですますとは、と関西ほど偽ブランド品に寛容ではない。どんなに飾っても、隣近所の濃密な関係からすぐに本質を見破られてしまう関西在住の気質では計れないブランド信仰が東京には確かにあり、それがこの癒し系詐欺事件を成立たせている。



 
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