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鹿の帯で秋の装い
2008.11
百人一首の猿丸太夫の歌「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋はかなしき」、この歌を想起させるような鹿の帯がほしいと探し続けて、やっとイメージに合うものを見つけました。この帯には紅葉のモチーフがないのがポイントです。「紅葉と鹿」の取り合わせは定番ですが、花札のイメージも強いため、両方描かれていると帯だけで完結してしまいかねません。かえって融通がきかず、コーディネイトの幅が狭くなってしまいます。その点、この帯は葡萄と鹿の組み合わせなので、晩秋の紅葉の季節だけでなく、初秋のころから楽しめます。紅葉の鮮やかなきものに合わせれば和歌のイメージどんぴしゃりのコーディネイトにもでき、無地や紬に合わせて半衿や根付、帯留などで紅葉をあしらったりもできます。コーディネイトの組み合わせで、いろんな取り合わせや物語のイメージを作るのがきものの大きな楽しみのひとつなので、鹿の帯が秋のアイテムに加わって、着こなしのバリエーションが広がってとてもうれしく思います。 11月といえば亥の子餅、陰暦10月は亥の子の祝いの季節です。この鹿の帯に、イノシシのボタンをおびじめの飾りにして出かけたら、「ちょうちょは?」と何人もの人に尋ねられました。花札の役の「猪鹿蝶」を連想する組み合わせだったんですね。次回はどこかにちょうちょのモチーフも入れて、花札コーディネイトにしてみようと思いました。
小物のひとつひとつに、秋のエッセンスが散りばめられているので、シンプルな無地のきものにコーディネイトしました。
K子さんがチャーミングな猪のボタンをプレゼントしてくれたので、さっそく帯留にできるようにゴムをつけて改造しました。菊と紅葉が大きく刺繍された半衿は、インパクトの強さが気に入って購入したもの。この秋には大活躍しました。おびあげは、光琳菊の絞り模様。おびじめは、細身のくけで臙脂とベージュの片身替わり。
陰暦10月には亥の子の祝いといって、亥の子餅を食べて収穫を祝います。だから、11月にイノシシはぴったり。
秋らしい黄土色系の地色に、実った葡萄の下に鹿が遊ぶ姿が織り出された名古屋帯です。秋の野山に鹿が鳴く、そんな情景を思い浮かべます。
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