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きものあそび

牧野茜のきものコーディネート
富士を仰ぐ 2008.01

お正月はいつも故郷の静岡に帰ります。今年は富士山をゆっくり拝したいと思い、馴染みの山に登ることにしました。家から歩いて15分くらいのところにある賤機山(しずはたやま)は、静岡の地名の由来にもなった山です。標高171mの低い山ですが、途中に社や古墳があって、ハイキングコースになっています。麓の静岡浅間神社は、わたしがお宮参りをして「茜」という名前をつけてもらった神社です。富士山を象徴する木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)をお祀りしているので、富士を仰ぐにはぴったりの場所です。 もともと運動が苦手なので「せんげんさん」の百段階段を上がるのさえ億劫なのですが、登ろうと心に決めているからか、階段も山道も意外に苦もなく進めます。筋肉痛になるのは御免なので途中休み休み登って、それでも30分くらいで山頂につきました。富士山の見えるポイントは何ヶ所かありますが、やはり山頂から見ると青空の下、静岡の町並みと山向こうに見える富士山がきれいです。30歳を迎え心機一転、丁寧に暮らしていこうと富士を望みながら誓いました。
賤機とは倭文(しず)を織る機のこと、倭文とは梶の木や麻などを染め、縞や乱れ模様を織り出した日本古代の織物のこと。賤機山だけでなく、親戚の住む地名に「麻機(あさはた)」「服織(はとり)」といった機に因むものが多いのも、何かの奇縁かしらと思います。 こうして故郷から離れた京都で、近所の家から機の音が聞こえる西陣に暮らしているのも、なんだか不思議な気がします。

賤機山山頂から見た富士山。静岡市内から見える富士山は、こんなふうに遠くに静かにそびえています。

双眼鏡で見れば、雪を冠した霊峰富士の姿です。


黒地に四角取りで障子格子と赤の笹模様が染められた小紋です。菊の地紋に光沢があります。

おびじめは黒に白と赤の矢羽根模様の冠組、おびあげは珊瑚色の絞り。
     

帯の松と小紋の笹竹で、松竹の吉祥模様の組合せです。

松林越しに見る雄大な富士は、羽衣伝説のある三保の松原を思わせます。帯に故郷の景色が広がって、遠い京都から静岡へ思いを馳せます。
     
 
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