京都の洛西にある妙心寺の一画、沙羅双樹で有名な東林院では、毎年1月8日から31日まで「小豆粥で新春を祝う会」が行われています。
京都では、1月15日に小豆粥を食べると、その一年の邪気を払い、万病を除くと平安時代から伝えられる雅な風習があります。
期間中は、午前11時〜午後3時の間なら、会費3,675円で予約なしに誰でも参加することが出来ます。 禅寺のなかはとても静寂。待合の和室で庭を見ながら呼ばれるのを待っていると、先に福茶と祝菓子が振舞われました。縁高の器には、松の雪を表現したきんとんの主菓子・昆布と紅白の豆菓子・結び笹にかたどった干菓子・干し柿、くわいチップ・みかんと、それぞれの云われ書きが入っており、茶碗に梅干が入っていたので昆布茶かなと思っていたら、少し甘めの梅湯でした。
ほどなく係りの人に呼ばれ、寺の説明を受けながら奥の部屋へと移動します。通された和室は、6畳と10畳の続き間で、朱塗りの御膳が並べてあり、一度に15,6名が食事できます。
自由に席につけば、手際よく御料理が運ばれてきます。御膳の上に、焼もちが二つ入った小豆粥・聖護院大根とおあげ(油揚げ)の炊いたん・畑菜のカラシ味噌あえ・昆布の揚げたもの・黒豆・ひじきのふりかけ・漬け物と、全部で七品。その中で、昆布を揚げたものは、“蛇腹こんぶ”といい、厚手の昆布の表面を丁寧に削り、酢につけたあと二日ほど陰干しし、細工を施して揚げるとゆう大変手間のかかったもので、禅寺のおめでた席には必ずある一品とのこと。
いよいよ食事ですが、食事をする前に、禅の教えに基づく「生飯(さば)の儀式」を行います。生飯とは、自分が与えられた食べ物の中から、少量を他の生き物に分け与えるとゆう仏教の教えで、取り分けた生飯は散飯といって、境内の木々にまいて、庭に来る小鳥や小動物に施します。簡単な儀式が終われば他に難しい作法はなく、あとは心行くまで精進料理を堪能します。出された食事はどれも美味しく、特に蛇腹こんぶはごま油がとても香ばしく、凝縮されたこんぶの旨味に感動しました。
毎日当たり前のようにしている食事ですが、自分も他の生きものと一緒に自然の一部を分けてもらって生きているとゆうことが分り、心の持ち方を見なおす良い機会になりました。
東林院ではこの他に、梵灯のあかりに親しむ会(4月)や、沙羅の花を愛でる会(6月)などの行事が定期的に開催されています。精進料理を教えてもらえる体験道場もあり、機会があればまた寄せていただきたいと思います。

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